我が家は沖縄にあります。台風は毎年のことで、多少の停電にも慣れているつもりでした。
でも、あの年は違いました。いったん離れてから戻ってくる「Uターン台風」で、丸3日間の停電。真夏です。エアコンは動きません。そして当時1歳だった娘は、ほとんど1日中泣いていました。
いま台風が近づいていて不安な方、実際に停電の中にいる方に向けて、あの3日間で分かったことを書きます。
エアコンが止まった部屋は、想像以上でした
停電で最初に困ったのは、暑さです。
真夏の室内は、風がないだけで一気に蒸し暑くなります。大人でも寝苦しい。その部屋で、1歳の娘が眠れるはずがありませんでした。
寝かしつけようとしても寝ない。寝てもすぐ起きる。そして泣く。この繰り返しが、昼も夜もなく続きました。
普段の夜泣きなら「いつか終わる」と思えます。でも停電中は違いました。いつ復旧するのか分からない。その先の見えなさが、いちばんこたえました。
正直に書きます。「なんで隣だけ」と思っていました
停電した夜、窓の外を見ると——隣のアパートには、電気がついていました。
同じ地域なのに、うちだけ真っ暗。あちらは明かりがついていて、たぶんエアコンも効いている。
「なんで隣だけ」
暑さと寝不足で参っていた僕は、何度もそう思いました。誰が悪いわけでもないと分かっていても、そう思ってしまう。あのときの気持ちは、今でもはっきり覚えています。
こういうことを考えてしまう自分に落ち込む方もいると思いますが、極限状態ではそれが普通だと、今は思います。
助けてくれたのは、防災グッズではなく友人夫婦でした
夫婦も娘も限界が近づいていた頃、友人夫婦が「うちに来なよ」と言ってくれました。
家族3人で避難させてもらい、エアコンの効いた部屋で過ごさせてもらいました。娘はようやく眠れました。僕らも眠れました。
結局、我が家が台風を乗り越えられた理由は、備蓄でも懐中電灯でもなく、頼れる人がいたことでした。
おすすめ理由
赤ちゃんがいる家庭の停電対策で、最強なのは「避難できる先」です。
実家、友人宅、親戚の家——「停電したら行っていい?」と、平時のうちに聞いておくだけで、いざというときの選択肢が変わります。
「迷惑をかけられない」と思ってしまう気持ちは分かります。僕もそうでした。でも、赤ちゃんの体は大人ほど暑さに強くありません。遠慮している場合ではない状況があります。
赤ちゃんは、大人より暑さに弱い
ここは知っておいてほしい部分です。
赤ちゃんは体温調節の機能がまだ未熟で、体に対して汗腺の働きも十分ではありません。大人が「暑いな」と感じる環境は、赤ちゃんにとってはもっと過酷だと言われています。
注意点
・ぐったりしている/反応が鈍い
・顔が真っ赤で、体がとても熱い
・汗をかかなくなった
・おしっこの量が減った、半日以上出ない
・母乳やミルクを飲まない
→ 判断に迷う場合は子ども医療電話相談「#8000」(全国共通)へ。緊急時は迷わず救急へ。
停電中、暑さをしのぐためにできること
我が家の経験と、後から調べて「知っておけばよかった」と思ったことをまとめます。
すぐできること
- 窓を開けて風の通り道をつくる(対角線上の2か所を開けると空気が動きます)
- うちわ・扇子:電気がいらない冷房です。地味ですが効きます
- 保冷剤や凍らせたペットボトルをタオルで包んで、首・脇の下・足の付け根に当てる
※直接肌に当てないでください。冷えすぎ・凍傷のもとになります - 服を減らす、汗をこまめに拭く:あせも予防にもなります
- 水分をこまめに:月齢に応じて、母乳やミルクを普段より頻繁に
涼しい場所へ「移動する」
正直、部屋の中でできることには限界があります。移動できるなら、それが一番確実です。
- 友人・親戚の家(我が家はこれに救われました)
- 自治体が開設する避難所(冷房が入っている場合があります。自治体の情報を確認してください)
- ショッピングモールなど、電気が生きている施設
注意点
次に備えるなら、これを
あの3日間を経て、我が家が「先にやっておけばよかった」と思ったことです。
- モバイルバッテリーを常に充電しておく(情報も連絡手段もスマホ頼りになります)
- 凍らせたペットボトルを数本、冷凍庫に常備(保冷剤にも飲み水にもなる)
- ミルクの場合は、カセットコンロなど湯を沸かす手段。液体ミルクの備蓄も選択肢
- 懐中電灯(ロウソクは、子どもがいる家庭では倒す危険があるので避けたほうが安心)
- そして何より——「停電したら頼っていい?」を、頼れそうな人に先に伝えておく
まとめ
- 真夏の停電は、大人より赤ちゃんのほうがずっと過酷。体温調節がまだ未熟
- 台風に慣れている沖縄でも、3日間エアコンなしは別格のきつさだった
- 我が家は3日間の停電で、1歳の娘が眠れず1日中泣き続けた
- ぐったり・汗をかかない・おしっこが出ないは危険サイン。#8000へ
- できる対策はあるが、部屋の中には限界がある。涼しい場所へ移動できるならそれが最善
- 一番の備えは、防災グッズよりも「避難できる先を平時に確保しておくこと」
あのとき「うちに来なよ」と言ってくれた友人夫婦には、今でも感謝しています。同時に、あの一言がなかったらどうなっていたかとも思います。
台風が近づいている方へ。無理をせず、頼れる先を今のうちに1つ思い浮かべておいてください。それが、赤ちゃんを守る一番の備えになります。



